今回の記事では、私が当初わからなかった「自衛官の階級」について、解説していきます
また、最後には民間との比較を行い、挨拶等の際にどの上司に同行してもらうかについても解説していきます
自衛官の階級について
-陸海空で共通の制度-
自衛官の階級と聞くと、漫画などに出てくる「鬼軍曹」などのイメージから軍曹が偉いんだと思い込んでしまっている方もいると思います
これから自衛官の階級について解説していきますが、階級は一つの基準であり、役職や職種によって変わるので、階級だけで自衛官の序列については一概に言えません
そのため、今回解説する階級については一つの基準として考えていただければと思います
では、自衛官の階級について解説します!
自衛官の階級は大きくわけると「幹部」と「曹士」に分けることができます
各階級を分割していくと、下記の通りです
幹部・・・「将官」、「佐官」、「尉官」
曹士・・・「 曹 」 、「 士 」
聞きなれない言葉が出てきましたが、上記で説明した階級を図で表すと下記になります

ここではざっくりと階級の名前について確認しましたが、ざっくり言うと、「幹部」がエリートとなり、「曹士」が現場のたたき上げとなります
次から各階級について解説していきます
士とは?
-任期制隊員という契約社員の階級-
まずは、「士」という階級についてです
「士」という階級を上から順にわけると「士長」「1士」「2士」となります
下記に陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊の階級章を記載します
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【防衛省HP:自衛隊の階級より引用】
上記の階級章は、自衛官の方々の制服に付いています
階級章をみてわかる通り、「士」の階級章は陸・海・空とも基本デザインは共通しており、色のみが違います
タイトルにも記載の通り、士の方は基本的に任期制隊員であり、民間でいう契約社員にあたります
そのため、任期(契約期間)が決まっており、1任期あたり陸上自衛隊であれば2年間、海上・航空自衛隊であれば3年間となります
なお、「士」の方の大半は「自衛官候補生」として入隊し、退職時の年齢も様々で20歳台~30歳台のようです
(*別途解説しますが、一般曹候補生や航空学生も入隊後は2士からスタートとなります)
曹とは?
-国防の現場を支える階級-
次に、「曹」という階級についてです
「曹」の階級をさらに上から順にわけると「曹長」「1曹」「2曹」「3曹」となります
下記に陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊の階級章を記載します
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【防衛省HP:自衛隊の階級より引用】
上記の階級章をみてわかる通り、「士」とは異なり、海上自衛隊のみデザインが異なります
私の想像ですが、これは組織を構築する際の成り立ちの違いかと考えています
曹の方は基本的に特別国家公務員であり、民間でいう正社員にあたります
曹は「現場を支える」方々であり、幹部と士の間で現場での活動において リーダーシップを発揮する階級となります
なお、曹になるためのステップは多くあり、下記に一例を記載いたします
①任期制自衛官からの選抜試験に合格
②一般曹候補生と入隊し、選抜試験に合格
③高等工科学校から任官し、曹へ昇格
上記以外にも曹へのステップはあると思いますが、ここでは割愛します
また、民間でいう正社員にあたるために、任期制とは異なり、曹は定年制になります
下記が階級に応じた定年になります
★曹長・1曹・・・55歳
★2 曹・3曹・・・53歳
(*令和4年1月から54歳になる予定です)
上記が定年になるのですが、通常の60歳より若く定年が設定されているので、この定年制度を「若年定年制」と呼びます
この制度については別途解説記事を作成する予定です
以上が、「曹」「士」の解説記事になります
尉官とは?
ー幹部自衛官の最初の登竜門ー
次に、幹部についての説明です
まずは、「尉官」です
「尉官」の階級をさらに上から順にわけると「1尉」「2尉」「3尉」となります
旧軍時代の呼称でいうと、1尉が”大尉”、2尉が”中尉”、3尉が”少尉”となります
下記に陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊の階級章を記載します
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【防衛省HP:自衛隊の階級より引用】
上記の階級章をみてわかる通り、「士」と同様、海上自衛隊のみデザインが異なります
こちらは非常に見分けるのが難しく、線の太さによって、1等海尉・2等海尉を見分ける形となります
なお、陸上自衛隊と海上自衛隊につきましては、★の数で見分けることができますが、階級と★の数は逆となっているので、注意してください!
また、尉官になるためのステップは多くあり、下記に一例を記載いたします
①幹部候補生として入隊(*院卒は2尉から)
②貸費学生として入隊 (*院卒は2尉から)
③防衛大学校を卒業し任官
④防衛医科大学校を卒業し任官
(*医学科は2尉から)
なお、「曹」の方であっても幹部候補生学校に入学し、選抜されれば尉官へ昇進することも可能となっております
尉官についても定年制になり、下記が階級に応じた定年になります
尉官の方々も「曹」と同様、「若年定年制」となります
★1尉・2尉・3尉・・・55歳
また、私の独断と偏見ですが、階級を民間の役職と比較すると下記の様になるかと思います

以上が、幹部自衛官の登竜門である「尉官」の解説記事になります
佐官とは?
ー幹部自衛官の中核を構成ー
次に、「佐官」についてです
「佐官」の階級をさらに上から順にわけると「1佐」「2佐」「3佐」となります
旧軍時代の呼称でいうと、1佐が”大佐”、2佐が”中佐”、3佐が”少佐”となります
下記に陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊の階級章を記載します
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【防衛省HP:自衛隊の階級より引用】
上記の階級章をみてわかる通り、「尉官」と同様、海上自衛隊の階級章は2等海佐と3等海佐を見分けるのが難しいデザインとなっていますが異なります
見ての通り、こちらの判別方法は真ん中の線の太さによって、見分ける形となります
なお、陸上自衛隊と海上自衛隊につきましては、尉官と同様★の数で見分けることができますが、尉官と佐官の見分け方は、線の数によって判別することができます(尉官は線が1本、佐官は線が2本となっています)
なお、佐官になるためのステップは尉官からの昇進のみとなります!!
佐官についても定年制になり、下記が階級に応じた定年になります
佐官の方々も同様、「若年定年制」となります
★1佐・・・57歳
★2佐・・・56歳
★3佐・・・55歳
また、私の独断と偏見ですが、階級を民間の役職と比較すると下記の様になるかと思います
なお、佐官の方々は幹部自衛官の中核を担う方々なので、お会いするときは
カウンターパートを合わせた役職の上長に同行いただいたほうが良いと思います

以上が、幹部自衛官の中核を担う「佐官」の解説記事になります
将官とは?
ー自衛官の中で一握りの存在!ー
最後に、自衛官の階級の頂点である「将官」についてです
「将官」の中での序列は、階級だけでは判別しづらいのですが、上から順に「統合幕僚長」
「陸上幕僚長・海上幕僚長・航空幕僚長」「陸将・海将・空将」「将補」となります
旧軍時代の呼称でいうと、”大将”、”中将”、”少将”となります
下記に陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊の階級章を記載します
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【防衛省HP:自衛隊の階級より引用】
上記の階級章をみてわかる通り、線が無く★のみとなります
将官の方々には滅多にお会いすることができないため、この階級章を見ると身が引き締まります
なお、将官になるためのステップは佐官からの昇進のみとなります!!
出世競争を駆け上がったエリート中のエリートです
なお、将官については定年制となります
また、私の独断と偏見ですが、階級を民間の役職と比較すると下記の様になるかと思います
将官の方々は自衛官の中でも一握りの存在のため、お会いするときは同行者の確認は必須となります

上記のようなイメージを私がしている理由は、下記の記事をご参考いただければと思います
なお、別記事で「将官」関連の解説記事も作成したいと思っております
まとめ
今回は、自衛官の階級の概要について解説してきましたが、非常に多くの階級があることがわかったかと思います
また、階級に応じた民間での役職についても比較したことにより、どの階級の方が民間ではどの役職なのかおおよそイメージができるかと思います
今後、別記事にて将官のポジションや階級に応じた役割など、色々な角度から自衛官の活動を掘り下げていきたいと思います
お読みいただいた方に少しでも自衛隊に興味を持っていただけるように頑張りますので、引き続きよろしくお願いします!
ーENDー